はじめに
新卒の就職活動で会社の業務内容を深く理解することは、面接や書類選考でのアピールに大きな影響を与えます。やる気だけ挑まれても、採用側は困ります。。
志望動機に説得力を持たせ、皆さんと企業のミスマッチを防ぐためにも、業務理解に必要な観点と情報整理の仕方について詳しく説明します。
個人の業務レベルまで分解する方法
1.事業理解
まず、会社が提供している製品やサービス、取り組んでいるプロジェクトが何かを把握します。その業界特有の技術やプロセス、ターゲットとしている顧客層なども調べましょう。どんな課題を解決しているのかを理解することが重要です。大きな会社になると、複数の事業部を抱えていることがほとんどです。筆者の所属しているディスプレイ(内装)業界では、イベント会場や店舗の内装デザインを行う事業部や、個人宅の内装提案・リフォームを行う事業部を抱えている会社もあります。事業部が違えば、お客さまも変わります。BtoCとBtoBでは、業務内容も大きく変わります。志望する会社がどんな事業部を抱えていて、自分が行きたい事業部はどこなのかしっかり理解しましょう。
2.部門理解
事業部が理解できたら、次は部署を把握しましょう。行きたい事業部の中にはどんな部署が存在していて、それぞれどんな役割を担っているのかを理解する必要があります。筆者の業界で例えると、ホテルの内装提案をする事業部の中だけでも「コンサル部門」「設計部門」「プロジェクト管理部門」「施工部門」に分かれていたりします。各部門が担っている役割や関わり方の流れ、どのように連携しているかも知ることが大切です。
3.個人の業務理解
さて、次は最終ステップである個人の業務内容の理解です。ここまで掘り下げないと意味がないので、最後まで頑張りましょう。ここで注目すべきは、大きく分けて以下の2つです。
①登場人物の整理
②利害関係の整理
それでは詳しく解説していきます。①の登場人物の整理について、業務において関わる人物(役割)を社内外問わず全員洗い出して下さい。お客さまはもちろん、社内で協力する部署や協力会社など全てです。先ほどの部門理解が役立つはずです。そして、その登場人物たちと自分がどのようなやり取りをするのかまで深掘りします。何か業務を依頼をするのか、あるいはされるのかなど。。
続いて、②の利害関係の整理を行います。これには、お金の流れに着目するのが手っ取り早いと思います。ビジネスの場では、どうしてもお金を払う側が優位になりますからね。。。また、どの部門がお客様との窓口となっているかも重要になります。金額を決めてお客様と契約するのは大抵その部門ですが、実際に経費をかけて手を動かすのは別部門だったりします。そのため、実際にプロジェクトを進めてみたら、想定以上に費用がかかって社内で揉める。。なんてこともよくある話です。こういったポイントに着目すると、その業務内容や大変さが見えてくるはずです。
会社説明会やインターンシップの活用法
さて、ここまで会社の業務を具体的に理解するために必要な観点を説明してきましたが、これら全て、会社説明会やインターンに参加する前に実施して下さい!
何故なら、会社説明会やインターンは一方的に発信される情報を得る場ではなく、自分の認識と実際の社員さんから得られる情報の擦り合わせを行う場だからです。これまで解説してきた情報のほとんどは、会社のホームページから得られます。せっかく生の声を聞ける場で、アホみたいに口を開けて餌を待っている場合ではないのです。
会社HPの事業内容や組織体系図を見て大枠を理解し、その業務内容と頻発するシチュエーション、大変さを想像し、実際の社員さんにぶつけることで、リアルな情報が得られます。「この仕事はこんな人と関わるのでこんな場面があると想像していて、そこにはこんな大変さがあると思うのですが実際はいかがですか?」と聞くのと、「仕事の大変な点はなんですか?」と聞くのとでは、得られる解答の解像度がまるで違います。たとえ自分の想定が違っていたとしても、そこで修正してもらえます。これを繰り返すことで、あなたの会社に対する解像度はグングン上がっていくはずです!
会社HPを活用し、①事業内容 ②組織体系を把握し、③個人の業務内容と大変さをイメージし、それを会社説明会やインターンで社員の生の声と擦り合わせるのが重要!
その他の情報源について
1.企業のIR情報やプレスリリース
上場企業の場合、投資家向け情報(IR情報)やプレスリリースが公開されています。これらの情報からは、会社の財務状況や経営戦略、新しい事業展開などの詳細を知ることができます。具体的な見方のについては、別記事で解説します。
2.転職サイトや口コミサイト
転職サイトや口コミサイト(例:OpenWork、転職会議)では、現役社員や退職者が投稿した企業の評価や仕事内容に関する情報が得られます。業務内容や職場の雰囲気、キャリアパスなどに関する実体験が投稿されていることが多く、これも参考になります。が、退職者の投稿が多いため、ネガティブな意見が多い印象です。その点をよく理解した上で、公平に判断するようにしましょう。簡単に意見に流されないように注意が必要です。
3.業界関連のニュースや記事
業界全体のトレンドや、会社がどのような事業展開を行っているかを知るために、業界ニュースや専門誌を活用するのも効果的です。例えば、IT業界なら「TechCrunch」、製造業なら「日経産業新聞」などがあります。また王道ですが、日経新聞も効果的です。大学生であれば、学校の図書館システムから無料で閲覧出来る場合が多いです。会社名で検索して、直近の記事に目を通すくらいはしたほうが良いでしょう。たまに、社長のインタビュー記事があったりするので、最終面接で武器になるかもしれませんよ。
競合他社や業界全体の理解
業界内での競争環境や市場の動向を把握することも大切です。会社がどのように競合他社と差別化しているか、どの分野で強みを持っているかを理解することで、その企業の価値が見えてきます。上で解説した業務内容の分析を行なっていると、同じ業界でも各社の違いが見えてきます。「A社では〇〇業務のために部門を設置しているけど、B社にはないな。ということは、〇〇業務は別の部門が包含して担っているのか?」など、具体的な比較ができるようになります。そういったポイントから、各社の特色やスタンスの違いを汲み取りましょう。
3. 業務理解に基づくアクション
会社の業務内容を深く理解することは、単に情報を集めるだけではなく、これらの知識を面接でどう活用するかが重要です。
面接でのアピール: 「○○という業務において、このような場面や大変さが想定されると思います。それに対し、自分の△△な経験が活かせると考えます」といった具体的な提案ができると、説得力がめちゃくちゃ増します。事前に社員さんと擦り合わせが済んでいるため、トンチンカンなことを言う心配もありませんよね。
自己分析との連携: 業務内容を理解した上で、自分の強みがその業務にどう貢献できるかを整理しましょう。
志望動機の具体化: 業務理解を深めることで、「なぜこの会社を選んだのか」という問いに対して、自分ならではの理由を挙げられるようになります。
会社を個人の業務レベルまで深く理解するためには、会社の公式情報だけでなく、実際の社員の声と擦り合わせることが大切です。これにより、より具体的かつ現実的な視点から自分自身の適性や強みを見つけ、効果的なアピールができるようになります。