「企業とボランティアの違いは何ですか?」
これは実際に筆者が面接で聞かれた質問です。皆さんはこれ、どう考えますか?会社は人を雇用して給料を支払っている以上、利益を追求することが求められます。その点がボランティアとの大きな違いと言えるでしょう。しかし、実は本質の部分は同じです。それは、「社会に価値を提供している」という点です。サービスやモノなど、様々な形で、誰かが求めているもの、社会に必要とされているものを提供しているという点では、企業もボランティアも行っている事は同じです。企業はその対価として、金銭を享受しているだけです。
当たり前のことですが、この視点が抜け落ちている就活生が多くいることも事実です。自分のやりたい業務や憧れ、自分の望む働き方に注目しすぎるあまり、周りが見えなくなってしまっています。しかし、他社に価値を提供する・より良い世の中を目指すということが企業活動の根幹であること、そして社会に出るということは、その価値を提供する一員になるということを忘れてはいけません。
自分のやりたいという気持ちや憧れはときに大きなエネルギーを生み出すものなので、否定はしません。ぜひ大切にして下さい。ですが、皆さんはそのもう一歩先をしっかり考えてみて下さい。
そこで必要になるのは、「あなたは誰にどんな価値を提供したいのか」そしてそれを実現する手段として、「会社を選ぶ」という考え方です。あなたが世の中に提供したい価値はどんなもので、どんな業界・会社ならそれを実現できるのか。そしてそこで初めて、あなたのやりたいこと、大切にしたいことと照らし合わせてみて下さい。
筆者は大学生になって接客のアルバイトを始めたとき、世の中の人々の心の余裕のなさに衝撃を受けました。理不尽なクレームや八つ当たりなど、社会にはいろんな人がいると言ってしまえばそれまでですが、当時はとてもガッカリしたのを覚えています。その時から、皆が心にゆとりを持てる世の中であってほしいなとぼんやりと考えるようになりました。これが、私が世の中に提供したかった価値です。
「皆が心にゆとりを持てる世の中にする」というミッションを掲げたときに、その解決手段はどんなものがあるでしょうか。実は、無限にあります。リラクゼーションサービスという手段もあれば、ファイナンシャル系でお金の悩みを解決してあげることで、心に余裕を持ってもらうという考え方もあります。あるいは、エンターテイメントで日常の嫌なことを忘れて楽しんでもらうというのも良いでしょう。
ではこの中から、どのように手段を選んでいけばいいのでしょうか。実はここで初めて、あなたの「得意」や「やりたい」が登場します。「嫌いじゃない」程度でもいいでしょう。ちなみに筆者が選んだのは、内装デザインの会社でした。それは、もの作りが好きだったからです。頭の中の構想が目の前で形になっていく過程が好きで、昔からレゴブロックでよく遊んでいました。内装デザインであれば、「物作りがしたい」という願望を叶えつつ、様々な用途の空間の機能性・居心地の良さを生み出すことで、人の心にゆとりをもたらせると考えたからです。
あなたが世の中に与えたい価値とあなたが大切にしたいこと、そして企業との結びつき・ロジックは、あなたなりのもので結構です。あなたの過去の経験や環境から生まれた価値観や感情は、誰も否定できるものではありませんし、その会社が提供している価値とあなたが提供したい価値に重なる部分があるのであれば、それで十分です。あとは、あなたが会社に求める条件などをもとに、志望順位を決めて行って下さい。
①世の中に与えたい価値を考える
②それが実現できる手段(業界・企業)の中で、自分の得意や興味を活かせるものを考える
③企業研究をして、より自分にマッチする企業を絞り込み、順位付けする
上記の手順で進めれば、自ずと志望する業界・企業が見えてくるはずです。そしてこれはそのまま、立派な志望動機になります。
最後に実際に筆者が使っていた志望動機を載せておきますので、是非参考にしてみて下さい。決して100点の志望動機とは言いませんが、この構成にしてからは1度も落ちていません、、(小声)
志望動機例:
“私は、空間作りを通じて心の豊かな社会を実現したいと考えています。この想いは、現代人の心のゆとりの無さに対し、私の好きな「モノづくり」で貢献したいと考えた事から生まれました。人々の生活と密接な関係にある「空間」をデザインする事で、人々の心や暮らしを豊かにする事ができると考えています。中でも貴社は、「人が生活する全ての空間」を手掛けているだけでなく、ランドマーク等の大きな影響力を有する舞台で活躍されています。その為、より多くの人の心に豊かさを生み出し、私の想いを実現する事が出来ると思い志望に至りました。私はこれまでのライブ制作で「相手のイメージや潜在的ニーズを掴む力」を培ってきました。この力を活かし、〇〇事業部の営業として、ABWを実現する次世代のオフィス空間や、ユーザーに対し、その場ならではの体験や、非日常感といった付加価値を与えられる空間を提案したいと考えています。”